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  • 2012/09/03/Mon 00:59:41
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空に向かって9

注意! 空に向かって8aの続きです。

通常バージョンです。






「ごきげんよう」
正門をくぐり、銀杏並木を歩く。
マリア様の前で立ち止まり、両手を合わせる。
下足場で上履きに履き替え、教室へ向かう。

毎日繰り返している事なのに、月曜日の今日はどの場面でも出会った人達の反応が違った。
皆、一様に口をポカンと開け、可南子を見上げるのだ。
しかも、いつもよりほんの少しだけ見上げる角度が急だった。
可南子の顔ではなく、頭ー髪型を見た。

そしてその日、一日中「ええー!?」という声で可南子がどこを歩いているかがわかった。
GPSを装備しているようなものだった。

前日の日曜日、可南子はスタ祐巳さんに連れられて美容院に行った。
本当に生まれて初めてだったので、付き添いは嬉しかった。
美容師とどう対応すればいいのか見当もつかなかった。
ただ、カットしてもらう長さだけは土曜日から決めていた。
「え、本当にいいの?」
スタ祐巳さんが目を丸くして聞き返した。
「はい、段階とか踏まなくていいです。最終的な長さで」
可南子としてはスタ祐巳さんに何度も付き合ってもらうのが申し訳なかった。

ー結果、可南子はベリーショートになった。
鏡の中の自分の顔が新鮮に見えた。
「あ、似合いますね」初め少しビビっていた美容師がホッとしたように言った。
「ええ、綺麗な卵型の輪郭だからね。どんな髪形でも似合うのよ」
スタ祐巳さんがなぜか胸を張って答えた。
カットした髪は美容師がもったいないというので自毛のエクステンションにする事にした。
立ち上がると、可南子は少し前のめりになった。頭がすごく軽くなってバランスがうまく
とれなかったのだ。
その日、家に帰ってシャワーを浴びた時、可南子は感動した。
何てシャンプーやコンディショニングが楽なんだろう!

・・その分、学校では面倒が待っていた。
真っ先に飛んできたのは日出実さんだった。
別に失恋した訳でも、電車の中でカミソリ魔に会ったわけでもない。
ありのまま説明した。その間に笙子さんに何十枚も写真を撮られた。
昼休みには「何でも相談に乗るわよ」とシスターに両手を握られた。
部活では、見学する一年生で体育館がすずなりになった。

・・可南子はスタ祐巳さんが段階を踏んでと言った意味がわかったような気がした。
きっと、落差が大きすぎたので皆、過剰に反応しているのだろう。
見慣れれば、きっと前の日常に戻るはず。


しかし、可南子の読みは甘かった。
その日から、可南子は第二の支倉令、ミスターリリアンの道をたしかに歩み始めたのだ。
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