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  • 2012/09/02/Sun 10:57:00
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今そこにいる妹10

新年会恒例行事として就寝前に千代紙を折った。
裏には、「なかきよ」から始まる短歌を各自で書いた。
一種のおまじないらしいが、これだけで良い初夢が見られるのならお得なものだ。
乃梨姉ちゃんなど、真剣な表情で一文字一文字、丁寧に書いていた。
めったに拝観できない仏像でも夢の中に召喚するつもりなのだろうか?
それとも今日来れなかった可愛い妹を想っているのか?

・・・私自身は特に観たい夢が無いことに気がついた。
というか、リリアンに入学して以来、現在に至るまでの時間が全て夢のように
楽しく充実していたからだ。

初め不本意そうだった乃梨姉ちゃんが、帰省するたびにどんどんリリアンっ子に
なっていき、すごく楽しそうに学園の話をするのを見て、私も絶対リリアンに
行こうと思った。
そしていざ入学してみると期待以上だった。
すぐにお姉さまができ、山百合会の仕事をお手伝いするようになって、すごく
忙しかったけれどとても楽しくて充実した時間を過ごせた。
ああ、自分は幸せだなあと思えた。

・・その分、両親は寂しがっていた。
娘二人がいなくなって(家族が半分になって)ひどく静かな家になったらしい。
今回も正月くらい親子水入らずでいようと言われていたのを出てきた。
明日からは親孝行する事にしよう。大切な人と過ごす時間を作れるなら多少の苦労は
何でもない。

さあ灯りを消して寝ようかという時になって、紅薔薇さまが突然寝る場所を交代して
欲しいと言い出された。どうやら瞳子お姉さまの隣になりたいらしい。
普段あまりわがままを言われない方なのに、よほど思い入れがおありなのだろう。
・・これが黄薔薇さまなら通常運行なのだけれど。
私は松平家に訪問した際、瞳子お姉さまとひとつのベッドで寝たので今回は譲る事にした。

「消すわよ」祥子さまが宣言しリモコンを操作されると、部屋は暗くなった。
私は天井を見上げ、首をかしげた。
有機EL照明で無段階に調光出来るはずなのに、わざわざLEDの豆電球がついているのだ。
切り換わって部屋全体がオレンジっぽく見えた。
もしかしてこれも紅薔薇さま仕様なのかもしれない。
目立たないけれど、小笠原家はかなり凝った作りだ。
これに比べると、瞳子お姉さまの部屋の天がい付きベッドもまともに思える。
(病室みたいにカーテンで覆う事ができる)
そこで、ふと寝返りをうってお姉さまのほうを向くと紅薔薇さまが瞳子お姉さまの寝顔を
見て、静かに涙を流されていた。
私は見なかった事にして、目を閉じた。

「ピンポーン」

深夜の来訪者に全員が飛び起きた。
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