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  • 2012/08/25/Sat 17:42:49
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空に向かって8a

注意!
空に向かって6の続きですが、別バージョン8bもあります。



ショーも無事終了し帰り道、可南子とスタ祐巳さんは喫茶店で休憩していた。
さすがのスタ祐巳さんも今日はハードな一日だったらしく、事務所に帰る前に一服したかったようだ。
「さ、さ、何でも好きなもの頼みなさいよ?」
コーヒーをブラックで飲んでいる可南子にスタ祐巳さんは追加注文するように促した。
可南子は別に遠慮している訳ではなかった。
「経費で落ちるのにい」スタ祐巳さんは弁解するように言うと、自分はクリームとフルーツの
たっぷりのったパンケーキを注文した。体が甘いものを求めているのだろう。
(可愛いなあ・・)こういうところは同級生の女の子と変わらない。
おそらく二十代後半から三十代前半だろうと思うのだが、年齢の話題は露骨に避けるので直接質問した
事はなかった。
可南子自身は初めてショーを間近に観て、いまだに興奮していた。
今日は眠れないかもしれない。
(自分もいつかあんな風に・・・)
そう思うと、今までいかに自分が漠然とレッスンを受けてきたか気づかされた。
今なら何故、そういうレッスンが必要なのかがわかる気がする。
(ああ、何てもったいない事をしてきたのだろう!)
今日は家に帰ってから自主トレだな・・・
可南子が密かに闘志を燃やしていると、スタ祐巳さんが思い出したように言った。

「可南子もそろそろコンポジット作らなきゃね」

コンポジットというのは写真や体のサイズののった名刺というか、いわばお見合いでいう釣書のようなものだ。

「写真撮るから髪短くしてきてね」

「・・・・・・・は?」

可南子のコーヒーを持つ手が止まった。
スタ祐巳さんの顔を見上げる。
ニコニコとはしているが、冗談を言っているようではなかった。

「あの、それは・・・・・・・・何ミリぐらい?」

「アハハ、何ミリって。そうねー今はまだ肩にかかるくらいでいいわよ?」

スタ祐巳さんは笑いながら答えた。やはり冗談ではなかったようだ。

それに・・・(今はまだ?)
可愛い顔して、何てとんでもない事を言いやがりますか、この女は。
可南子は先程までの高揚した気分から、一気に谷底に突き落とされた。
顔から血の気が引く。

「・・・・無理」

「は?」

「無理、無理、無理、無理、無理ー」最後は絶叫した。

店員や他のテーブルの客の視線が集まった。





(何?別れ話?)(お似合いのカップルに見えるのに)(年増があんな若い子をオモチャに・・)
ヒソヒソ邪推する声が聞こえて、スタ祐巳は真っ赤になった。

「可南子、落ち着いて。無理って一体何が無理なの?」

大人の自制心でなんとか、そう尋ねる。

「私・・・髪切るの無理」

まあ、話の流れからしてそうだろうな。しかしまさか髪にそんなに思い入れがあったとは。
事情を聴いてなんとか説得しなければ。けれど後輩の続く言葉は予想の斜め上を行っていた。

「前髪なら鏡見ながら一応切れるけど、後ろ髪なんて絶対無理!」

「・・・はあ?」

聞けば、可南子は生まれてこのかた、美容院というものに行った事がないらしい。
自宅で入念なヘアケアをしているおかげか、とてもそんな風には見えなかった。

「えーと、それは何か宗教的な理由で?」

後輩はふるふると首を振った。

「じゃあ他人に髪触られるのが嫌だとか、ハサミが怖いとか?」

ふるふる。

どうやら幼児の時行った散髪屋で泣いて以来、母親が前髪だけカットしていたらしい。
父親は全日本クラスのバスケットボール選手、母親は仕事に忙しかったと聞いていたが
他人の家には、いろいろとあるものだ。
自分でカットしなくていいと説明すると、可南子はあっさりと了承した。


スタ祐巳はほっとした。


(でも幼女のトラウマになるほど怖い散髪屋のマスターの顔って、どんななんだろう?)
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