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  • 2012/07/10/Tue 12:46:05
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空に向かって3

「可南子さん、モデルを目指しているの!?」
笙子さんは大声を上げた。瞳子さんと乃梨子さんは無言のまま、驚いた表情になった。
予想通りの反応だった。人の少ない裏庭にお弁当に誘った甲斐があった。
可南子は他の人達より、まずこの三人に事情を説明しておきたかった。
「まあ、なりゆきで。そのうち通販雑誌の片隅にでも載れたらいいかなって」
契約した事務所はファッションショーのモデルが中心で、仕事の傾向としてはかけ離れていたが、
話を大仰にしないよう、より身近なイメージを与えたかった。
今の可南子にとっては、それでも雲の上の存在のように感じられたが所属事務所の先輩で、現役モデルの中にはそういう仕事を軽んじる人も残念ながらいたので、反発心もあったのかも知れない。
「バスケットはどうするの?」
瞳子さんは、いきなり核心をついてきた。
「・・部活は続けるよ」
可南子はリリアンの中ではもちろん、所属する近隣のリーグではスター選手だった。
練習試合など、他校の選手はまるで相手にならなかった。それでも・・・自分が全日本とか、
そういうレベルからはかけ離れている事は自覚していた。
身長のデータに引かれてか大学のコーチや、時には実業団の監督まで見学に来る事もあったが、
彼らは、結局無言のまま帰っていった。頭ではわかっていても、やっぱり寂しかった。
だからモデル事務所のスカウトに声をかけられた時、自分は心の底では嬉しかったのだと思う。
モデルとしてものになるかどうかなんて、まるでわからないけれど、それでもそちらを目指す以上、
けじめとして親友と呼べる仲間達にバスケットからの訣別宣言をするつもりだった。
「いいんじゃない?可南子さん、舞台度胸もあるし」
瞳子さんの言葉は、素直に嬉しかった。彼女は本物だ。自分の女優としての才能を疑う事もなく、
真っ直ぐ、その道を突き進んでいくのだろう。
可南子が、まぶしそうに電動ドリルを眺めていると「はああ、すごいなあー」ふわふわ髪の笙子さんは、
まだ驚き続けていた。
「笙子さん、モデル経験あるんでしょう?」
その時のトラウマから写真に撮られるのが苦手になったと聞いている。
「うん・・スタジオでね。レフ板やフラッシュがすごく眩しかったなあ・・ううう」
「ごめん。嫌な事、思い出させた?」
「・・うん大丈夫。そういうの克服するために撮る側にまわったんだから」
笙子さんはカメラを持つ手に力をこめるとニッコリと微笑んだ。
(いいなあ、今の表情。私にもできるかな?)
「そのスカウトさん見る目あるよ。被写体として可南子さん魅力的だもん」
「エヘヘ、そうかな?」スタ祐巳さまがほめられたのが嬉しくて、ついデレてしまった。
「・・夢がかなうといいね」
乃梨子さんからは無難な励ましの言葉をいただいた。・・すごく嬉しかった。
何故だろう。彼女とは多くを語らずとも心が通じあっている気がする。
(ああ、そうか)スタ祐巳さまは顔はリアル祐巳さまに似ているが、内面はこの友人を思い起こさせるのだ。
自分がついて行こうと決意したのも当然のように思えた。

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