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  • 2012/07/09/Mon 08:09:06
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今そこにいる妹4

注意 随分以前に書いた「今そこにいる妹」の続篇です

年も改まり二日目。
今日は山百合会の新年会ということで小笠原祥子さまのお宅に訪問することになった。
祥子さまというのは紅薔薇さまのお姉さまで、瞳子お姉さまの従姉であり、私にとってはひいおばあちゃんにあたる。
もっとも学園祭の時お顔を拝見しただけで、お話しするのは今日が初めてだ。
いろいろ噂は聞いていたので、少し緊張はするが紅薔薇さま、瞳子お姉さまと一緒なのは心強かった。
ついでに乃梨姉ちゃんもいればよかったのだが、白薔薇姉妹、黄薔薇姉妹とは集合時間が違ったので同じ家からなのに、私のほうがずいぶん早く出てきた。
まあ元紅薔薇さま主催の新年会なので準備のお手伝いとかもあるのだろう。
門の前につくと聞きしに勝る豪邸だった。瞳子お姉さまのお家でそれなりの免疫が出来ていると思っていたのだが。
ようやっと玄関までたどり着くと祥子さまご本人が出迎えて下さった。

「「「あけましておめでとう((ございます))」」」新年の挨拶がこだまのように響きわたった。
いざ自己紹介をと口を開きかけると、祥子さまは「ささ、早く上がって。寒かったでしょう」と言って広い廊下を奥へ戻って行かれた。
あれ?・・・もしかして、私無視された?・・・なにか不首尾でもしでかしただろうか?
不安にかられて同行のお二方の顔を伺うが、二人とも私と視線も合わせず、さっさとスリッパに履き替えて歩き出す始末。
これはあれか。正式な挨拶は玄関先などではなく、ちゃんと部屋に入ってからということなのか?
釈然としないまま二人に続いて延々と歩き、やっと広い和室に入ると、そこには上品な奥様がいた。
「まあ、いらっしゃい!」「清子おば様!」
同じように新年の挨拶が交わされると、私の自己紹介はまた華麗にスルーされた。
いや、今のは明らかに瞳子お姉さまが私をさえぎったのだ。・・・ここまでくれば大体見当はついた。
紅薔薇さまの肩が笑いをこらえるようにふるえているのを見て、それは確信にかわった。

「・・ところで、瞳子ちゃん。貴女の妹はどうしたの?それに志摩子は遅れて来るの?」
祥子さまの言葉におばあちゃんとお姉さまはどっと吹き出した。
なかなか笑いが収まらないので、不審そうに眉をひそめる祥子さまには私から説明することにした。
「初めまして。私が紅薔薇のつぼみの妹、二条XXXです。ふつつかですが紅薔薇の名に恥じぬよう一所懸命頑張りますのでよろしくお願いいたします」
顔を上げると、祥子さまと清子おば様が共に目を丸くしていた。(あ、可愛い)その瞬間私は年上の女性二人の大ファンになっていた。
「え?え?貴女、乃梨子ちゃんじゃないの?」
「乃梨子は私の実の姉です」
「祐巳!瞳子ちゃん!貴女達私を騙したのね!」
「嫌ですわ、お姉さま。人聞きの悪い・・・黙っていただけです」
「そうですわ。それに祥子お姉さまには学園祭の劇で、ちゃんと妹を見ていただいているはずです」
「え?え?じゃあ、あの時の乃梨子ちゃんの見事な早変わりって・・・」
そうなのだ。学園祭ではそっくりなのを利用して実姉妹で二人一役を演じたのだ。
事情を知っているものにはギャグになるが、まさか本気にする人がいるとは思わなかった。
なにしろ上手に消えた瞬間、下手から別の衣装で現れるのだ。本物の歌舞伎だってあそこまでは出来ない。
「名前だって何度かお伝えしたはずですけれど」
「・・たしかにXXXちゃんて聞いた覚えはあるけれど」リリアンでは名字をほとんど使わないのが仇になったようだ。
私も一応、追い討ち・・いえ補足をすることにした。
「薔薇の舘でもお会いしてます。・・大混乱していたので、ご挨拶しそびれましたが」
そう、ただ一人のつぼみの妹という立場上、後片付けに最後まで残ったので打ち上げに参加するのが遅れたのだ。
・・菜々さんは大層恐縮してくれたが、お姉さまとひいおばあちゃんから目を離すことはできなかったようだ。
それでも大急ぎで片付け、薔薇の舘に駆けつけるとビスケット扉の向こうでは紅薔薇さまの唇で乾杯の儀式がなされていた。
思わず挨拶も忘れて行列に並んだ私を誰も責めることはできないと思う。
それより、私のふりをして二回も行列に並んだ乃梨姉ちゃんのほうがずっとズルいのだから!!
            ※※※

・・・後から考えると、そっくりさん二人を使った劇というのは前年のとりかえばや物語へのオマージュでもあり、(紅薔薇さまは前任者の意思を継ぎたがる)同時に、祥子さまへの意趣返しにもなっている。意図的だとすれば、我がおばあちゃんながら何という狸なのだろう!!それに巻き込まれた乃梨姉ちゃんと私の立場って一体・・・すると乃梨子姉ちゃんは「あんたはまだいいわよ!紅薔薇の血統なんだから!・・まあ私はその分身体で払ってもらったけどね」と言うとペロリと自分の唇をなめた。
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