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  • 2012/06/13/Wed 15:52:13
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一長一短

「志摩子はね」
聖さまはティーカップをテーブルに置くと妹について語りだした。
「耳がそんなに良くないんだ。正直遠いといってもいい」
「「えっ!?」」
祐巳と由乃は思わず叫ぶと志摩子さんの方を振り返った。
本人は(それがどうかした?)というように微笑んでいたが、二人は
大ショックだった。もう長い間、親友の関係なのに。
「あれ?気付かなかった?…まあ日常生活に支障が出るほどじゃないから」
祐巳は薔薇の館にいる他のメンバーの顔を見回した。
江利子さま、祥子さま、瞳子、菜々ちゃんは驚きを隠していないので、
祐巳や由乃さんと同じように気づいていなかったようだが、乃梨子ちゃんは
なぜ、わざわざ言う必要があるのかと苦い表情だった。生粋の志摩子さんマニア
の面目躍如と言ってよいだろう。
ここ、薔薇の館にこういうメンバーが集まったのは学園祭の打ち上げにOGが参加
してくれたからだ。去年は可南子ちゃんの騒動もあって、ゆっくり話もできなかった
ので、祐巳は大喜びだったが由乃さんと乃梨子ちゃんは露骨に嫌な顔をした。
まるで天敵襲来された野生動物のようだった。
「蓉子さまや令さまも来られればよかったのに」祐巳が思わずつぶやくと、
「あの二人は真面目だからね。自分たちの大学祭にかかりきりなのよ」
江利子さまが答えてくれた。
「まあ、それではわたくしが不真面目みたいではないですか。リリアン女子大の
学園祭は高等部とわざと時期をずらしているのはご存知のはずでしょう」
祥子お姉さまがかみついた。話題を振った祐巳は横目で睨み付けられて首をすくめた。
「まあまあ、それで何故、私がそんな暴露話をするかと言うとね」
聖さまが話題を戻した。
「君たちが志摩子に対してフィルターのかかった見方をしているみたいだったから」
「?」
「志摩子がおっとりというか、悪く言えばボンヤリしたイメージを与えるのはそれが
原因だから」
「…」
たしかに志摩子さんが実は非常に頭脳明晰である事は、一緒に仕事をしていて嫌と
いうほど思いしらされているけれど。それでも蓉子さまや乃梨子ちゃんのように
カミソリみたいに感じないのはだからなのか?
(さすが、ちゃらんぽらんなようでいて、ちゃんとお姉さまなんだなあ)
祐巳が感心していると聖さまはこう続けた。
「まあ人間、バランスがとれるもので耳が遠い分、目は近いんだよね」
「おい」由乃さんは思わずツッコミをいれた。
「だから良い意味だってば。相手の顔をよく見ようとじっとうるんだ瞳をむけるんだよ?」
うう、たしかに志摩子さんにはそういう所があって、女同士でもドキドキする事があるけれど。
「だから、これだけ整った顔立ちなのに冷たい印象は与えないだろう?近寄り難い美貌だと評される私にはうらやましいよ」
「おい」今度は江利子さまが裏拳をともなってツッコミを入れた。
そしてニヤリと笑うとこちらを向いた。由乃さんが緊張するのがわかった。
このお祖母ちゃんはほんの少しでも機会があれば孫いじりをしようとする。
「でも人間バランスがとれるものだというのは同感ね。ウチの由乃ちゃんなんて足はこれでもかってぐらい遅いけど、その分手は早いものね」
「!」ガタンッ
由乃さんが肩をそびやかして立ち上がった。菜々ちゃんがすかさず後ろから羽交い締めにした。
(殿中でござる。殿中でござる)祐巳は心の中で合いの手をいれた。
だから由乃さん、そういう態度は江利子さまの狙い通りなんだって。
すると祥子お姉さまが、生来の負けず嫌いの血が騒いだのか、とんでもない事を言い出した。
「そうね、ウチの祐巳も腰は重いけれどお尻は軽いものね」
(なんですと?)
このお姉さま一筋の、妹の鑑のような私をつかまえてよくそんな事が言えたものだ。
妹に視線を送って同意を求めたが、その瞳子は縦ロールを揺らしてうんうんとうなづいていた。
え?それって祥子お姉さまに対する同意?私ってそう思われていたの?
祐巳がショックを受けていると、聖さまが何か思い出したようだった。
祐巳も二年前の卒業式、三年生の教室での出来事を鮮明に思い出した。
まずい!聖さまは今、完全に暴露モードに入っている。祐巳は咄嗟に聖さまの前に飛び出すと
両手で聖さまの開きかけた口を押さえた。
「それ以上、言うなあ」
しかし、祐巳の行動はやぶ蛇であった。祥子お姉さまと瞳子は、それまで少しはあった微笑を
消すと真剣な眼で詰め寄ってきた。
「それ以上?一体何の事(かしら)(なんですかっ)」
すると志摩子さんが本日初の発言をした。
「許してあげて。お姉さまはそういう関係に持ち込むのが、とてもお上手なの」
志摩子さん!!それまったくフォローになってないから!!
     ※※※
「ただいま・・・」
「ああ、お帰り・・」
ちょうど玄関にいた祐麒は姉の顔を見てギョッとした。
「どうしたの!?その唇!?」
マスタードタラモのように真っ赤に腫れあがっていたのだ。
「聞かないで・・・」
姉はそのまま階段を上がって行ってしまった。
祐麒は自分の烏帽子親との秘め事を思い出していたが、実際はもう少し悲惨だった。
聖さまだけズルいということになって、寄ってたかって唇を奪われたのだ。
(うう、まさか菜々ちゃんにまで・・・しかも、あんなディープな・・・)

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