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  • 2013/06/16/Sun 23:16:34
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薔薇の館の危機

「……祐巳さん……」
「ごきげんよう蔦子さん……何かあったの?」
ひどく浮かない顔をしていた。
「いや、さっき職員室の先生の会話立ち聞きしちゃって」
「蔦子さん、また二階の職員室の外壁に張りついてプール盗撮していたの?危ないわよ」
「ちゃんと命綱はつけてるから……それより大変なのよ」
聞けば何と薔薇の館の危機なんだそうだ。
それを聞いて、カップを洗っていた菜々ちゃん、一人芝居の稽古をしていた瞳子、剣豪小説を読んでいた由乃さん、そして会議室の隅でいちゃついていた志摩子さんと乃梨子ちゃんがテーブルの回りに集まって来た。
「薔薇の館を建て替える?」
「耐用年数はまだ余裕があるはずだけど……」
階段修繕の話し合いの時、先生に確認した。
「耐震設計の問題なんだって」
海外でも大地震で校舎が倒壊し、生徒が生き埋めになったりして国際的に非難されるケースが多い。
「それを言うなら木造校舎全部危ないんじゃないの?」
「授業が行われる校舎は私達が入学する前に補強工事されてるらしいわ」
「え?じゃあ薔薇の館は後回しにされてたわけ?」
「だっておかしいと思わなかった?同じような構造なのに薔薇の館だけ階段がギシギシいうなんて」
「薔薇の館も補強工事すればいいんじゃないの?」
「それがね、そういう工事って面積に単純に比例するんじゃなくて四隅の数で費用が掛かるんですって」
「つまり小さな建物のほうが割高になるってこと?」
「うん、あとクラブ棟とかもね」
「え、じゃ写真部も他人事ではないんだ」
「そう、だからまとめて一つの建物にする計画があるんだって。…五階以上になるからエレベーターがつきますねって」
「断固反対!!」祐巳がいきなり立ち上がったので皆びっくりした。
「落ち着いて祐巳さん」志摩子さんが腕にしがみついてきた。
「だって皆我慢できるの?私は嫌よ。立てこもってでも反対する」
「費用が問題だというなら祥子お姉さまに相談してみてはどうでしょう?」
瞳子が提案した。
「うーん、卒業生に頼るというのもなあ」
小笠原家なら全校舎改修できそうだけれど。
「反対するにしても地道に署名運動からするとかのほうがいいんじゃない?」
由乃さんがらしくない穏健な提案をした。
「それに今日明日って話でもないんでしょう?じっくり対策練りましょう」
乃梨子ちゃんにそう言われると少し安心できた。

「でも正直びっくりしたわ。祐巳さんが薔薇の館にそんなに思い入れがあるなんて」
志摩子さんにしみじみと言われた。
「うん、私夢があるんだ」
「……聞いてもいい?」
「将来、子供が出来たらね、リリアンに入れてね」
「女の子限定なのね」
「うん、それでお母さんもここで青春を過ごしたのよって言いたいの」
「……それなら祥子さまだけじゃなく、柏木さんに相談してもいいかも知れないわね」
「なっ、何で?柏木さん関係ないじゃない!」
「お金だけの問題じゃなくて政治的な交渉っていうの?あの人なら頼れると思う」
「それはそうかもしれないけれど」
「柏木さんは祥子さまや瞳子ちゃんの従兄でもあるんでしょう?頼る筋合いはあるわ」
「……」

祐巳も納得せざるを得なかった。
ただ、事の重大性からいっても依頼するのは現役薔薇さまである祐巳に白羽の矢がたった。
志摩子さんや由乃さんに同行をお願いしたのだが、共に「私はそこまで思い入れはないから」
と断られてしまった。
後日、菓子折(メープルパーラーの詰め合わせ)を携えて訪問した祐巳が、柏木優に大歓迎されたのは言うまでもない。




小さな建物のほうが割高というのは、まったくの創作です。
建築についてはど素人です。すみません。
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