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  • 2013/05/11/Sat 12:05:56
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噂話

その日、島津由乃はお腹の調子がよくなかった。
そこで通りすがりに一年生の校舎のトイレに寄る事にした。
久しぶりの使用でなつかしく思いながら腰かけていると複数の生徒が
入って来る気配がした。
薔薇さまになってからは、こういう場所で他の生徒に出会うと多少気まずい。
たまに直立不動になる生徒すらいるのだ。
なのでタイミングをずらしてやり過ごす事にした。
幸い急ぐ用事もない。
息をひそめていると生徒達の会話に聞き覚えのある声が混じっていた。
「ごめんなさい。私、この後薔薇の館にいくから」
「あら今日は剣道部はお休み?」
「ええ、今日は自由参加の活動日なの」
「・・菜々さんも大変ねえ。一年生で黄薔薇のつぼみだなんて」
「そんな・・私なんか大した仕事もしてないし」
「それだけじゃなくって・・」「・・ねーえ」
(あ、なんか嫌な展開だな)と由乃は思った。
「他人のお姉さまの事、とやかく言いたくないけれど・・どうなの由乃さまって」
「そうよね。とても素敵な方なのは認めるけれど・・妹になったら大変そう」
(やっぱり)由乃は自分が周囲からどう見られているか案外正確に認識していた。
だからと言って自分を変えるつもりもさらさらなかった。
これが私だ。何が悪い。・・けれどそのせいで菜々まで嫌な思いをしているのなら。
他の生徒達への怒りよりも、菜々への申し訳ない気持ちのほうが勝った。
由乃が肩を落としていると、妹が一度息を止めてから、静かに語りだすのが聞こえた。
「ええ、確かに他の薔薇さま方に比べるとわがままに見えるかもしれない・・」
声しか聞こえないのに、他の生徒達が息を飲むのがわかった。
「いえ実際とてもわがままなんだけど。でも、でもね」
由乃は知っていた。こういう喋り方をする時の妹はとても怖い。
可哀想に他の生徒達は内心震え上がっているに違いない。
「・・私にはとてもお優しいのよ。私にとってはかけがえのないお姉さまなの」
「そ、そうよね。ごめんなさい余計な事言って」
他の生徒達があわてて出て行くのがわかった。
「・・・」
「・・お姉さま、お腹の具合いかがですか?」
「!」
「・・見ていた訳じゃないですよ?お姉さまのシャンプーの香りぐらいわかります」
だって私は妹ですから。菜々はそう言って出ていった。
由乃はぬぐってもぬぐってもあふれでる涙に後を追うこともかなわなかった。

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