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  • 2014/01/05/Sun 16:07:28
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新年の薔薇

恒例の小笠原家での新年会も最終日の朝を迎え、朝食後に皆で部屋の掃除をしていた。
祐巳はふと裏庭の薔薇庭園の事を思い出した。

元日、二日と穏やかな天候だったが、去年は東京でも雪が積もったりした。

「お姉さま、裏の薔薇庭園は何か冬の対策をされているのですか?」

今いる和室からは裏庭は見えない。
縁側のガラス戸を通して、落ち着いた風情の庭が広がって見えた。
日本庭園と呼ぶ程ではなく、それがかえって上品に感じられた。

確かにここから咲き誇る薔薇はちぐはぐに見えるだろう。
今はさすがに咲いてはいないだろうけれど、それでも大事にされていたらいいなと思った。

「ええ、霜が降りる前に全体をカバーしたわ」

(さすがは天下の小笠原家、それぐらい当たり前かあ)

祐巳はその時、かまぼこ型をしたビニールハウスを想像した。

話題が出た事もあり、帰る前にもう一度皆で裏庭を見学しようと提案した。
コートを着込んで石畳の通路を歩く。
靴が玄関側にあったので裏口を使わず、家屋を迂回するのだが初めて歩くせいか
裏庭に回るだけなのにちょっとした散歩気分が味わえた。

記憶の中にある「それ」がある場所を見た時、三人の薔薇さま方は揃って口をポカンと開けた。

「グラスハウス?」

形そのものは温室としか表現できないが、天井が高く学校にあるそれより数倍大きく見えた。
(植物園みたい)
しかも新しいせいかガラスの透明度が高く、冬の日差しの中、氷の城のようにきらめいていた。
他のメンバーで裏庭を初めて見た者のほうが驚きは少なかったかも知れない。

(だって、霜対策のためだけにコレ建てちゃうの?)

「暖かくなったら案外簡単に解体できるらしいわ」
「!」

「それでね、ガラスでこの天井の高さだと二階の私の部屋からも中がよく見えるのよ」

中に入ると、お姉さまの言葉通り、四季咲きのロサキネンシスを楽しめた。

(この薔薇はお姉さまだ)

祐巳は思った。
おじいさまや他のご家族の方に大切に育てられた「箱入りの薔薇」・・・
夏に見た時よりも、さらに愛しくなり、そっと花びらに指をそわせた。
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